いがらし朝青|もっと。よくなる。千代田。 | 【第2回】いがらし朝青物語
16243
post-template-default,single,single-post,postid-16243,single-format-standard,ajax_fade,page_not_loaded,,footer_responsive_adv,qode-theme-ver-10.1.1,wpb-js-composer js-comp-ver-5.0.1,vc_responsive
 

【第2回】いがらし朝青物語

【第2回】いがらし朝青物語

作家 小松成美さんとの対談

2017年千代田に起つ男、41歳いがらし朝青(あさお)に、希代のインタビューの名手であり作家の小松成美さんが迫る「いがらし朝青物語」 、今回は第2回「挫折を乗り越えて」です。
(写真: 阿部拓歩、文章: 小出雄太)

第2回 挫折を乗り越えて

 

\第1回あらすじ/(第1回はこちら

東大生Jリーガーを目指し3浪して東大に合格した朝青。晴れてプロチームの練習生としてプレーを続けたが越えられない壁に直面。そしてJリーガーの夢が破れ、目の前に色の無い世界が広がった2年間。そんな朝青が次のステップとして取り組んだものとは。

\「夢は必ず実現するわけではなない」ということ/

 

小松成美(以下、小松):Jリーガーの夢が破れ、目の前に靄(もや)が掛かったような日々だったそうですね。

いがらし朝青(以下、朝青):信じて疑わなかったJリーガーになれなかったのでショックはとても大きく、当時の記憶がすっぽりと抜けています。たぶん寝食どころか呼吸すら忘れてしまうような状態だったと思います。現実から目をそらし、次にどこへ歩み出せばよいかわからず、さまよっていました。
しかし今振り返ると20代でこの挫折を経験してよかったと思っています。大人は子供たちに「大きな夢を描こう」と教えますが、必ずしも実現するわけではありません。むしろ実現できない人の方が多いかもしれません。私は、そんな人たちに「たとえ最初に描いた大きな夢が破れても、また次に描けばいいんだよ」と自らの経験を通じて語りかけることができます。


 

\次のステップは世界に視野を広げた平和教育/

 

小松:次のステップとしてどのようなことに取り組んだのですか。

朝青:大学に通いながら平和教育のボランティアに取り組みました。CISV(Children’s International Summer Villages)という非営利の民間団体で、世界中の子供たちをある国や地域に集めて、1か月掛けて友情を育むプログラム運営をしていました。

小松:素晴らしい取組です。

朝青:「平和は友情から生まれ、友情は子どもの時から育まれなければならない」という考えに則っています。例えば戦争のニュースを見たときに、その国に一人でも友達がいれば見方が変わります。他人事ではなく自分事になり、戦争の当事者になりにくくなります。そんな思いを込めて世界中の子供達と触れ合ってきました。

小松:子供たちの引率や運営をしていたのであれば、サッカーが役に立ったのではありませんか。

朝青:はい、サッカーは言語の壁を超えます。子供たちがスーパースター扱いをしてくれました。 このボランティアを通じて、Jリーガーを目指していた時は全く視野に無かった社会に対して目を向けるようになりました。自分はいったい何ができるのか、真剣に考え始めました。

小松:トップアスリートがプレーに掛ける集中力は超人的です。同時に、プレー以外で社会に対して何ができるか、どんな影響を与えられるかを真剣に考えて行動しています。朝青さんが東大生Jリーガーという異色の存在を目指した背景には、こうした社会的な影響力への憧れがあったのではありませんか。

朝青:今振り返るとそうかもしれません。普通のサッカー選手にとどまらず、より強く影響を与える象徴的な存在になりたかったのだと思います。

小松:自分の生きる時間軸にどのような世界があり、何を通じて影響を与えられるか考えることはとても大事なことです。しかし、できる人は多くありません。朝青さんが20代前半でこの視点を持って必死に考えられたことはとても素晴らしいと思います。


 

\国際的な展示会を企画する社会人1年生 そしてコーチングとの出会い/

 

小松:大学には何年通われたのですか。

朝青:3年間の留年と合わせ7年通って卒業しました。実は東大を3浪3留した劣等生です。

小松:お話を聞く限り、単なる劣等生ではありませんよ。全身全霊でJリーガーを目指し、平和教育のボランティアに取り組み、過ごした7年間はとても濃密に映ります。

朝青:サッカーでは自分と向き合い、ボランティアでは世界に目を向け、他人を思いやることの大切さを学びました。海外で活動しましたので片言でしたが英語でコミュニケーションをとれるようになりました。

小松:大学卒業後に就職をされるのですね。

朝青:最初に就職したのは国際的な展示会出展企業を支援する広告会社です。

小松:どのようなお仕事でしたか。

朝青:例えば東京モーターショーに出展するフランスの自動車メーカーに対して、そのメーカー・車種が最も魅力的に伝わるようにブースをデザインして施工し、ターンテーブルなどの魅せる演出からコンパニオンの手配までトータルにコーディネートしていました。

小松: 何を学びましたか。

朝青:展示会は各企業の最先端技術や商品をアピールする場です。普段の生活では見えない特殊な業界のトップシェア企業であるクライアントのために、寝る間を惜しんで最新トレンドを調べました。秒刻みで海外へ移動しながら、よりよく魅せるための提案を企画して実践する。徹底して人に尽くすという仕事の基本姿勢を学びました。

小松:その次に別の会社に行かれていますね。

朝青:コーチングファームです。

挫折を乗り越え社会人になった朝青が出会ったのはコーチングでした。
次回は「コーチと政治」と題して、いがらし朝青の政治への想いに迫ります。
第3回へ続く)

小松成美(こまつ なるみ)

真摯な取材、磨き抜かれた文章で、数多くの人物ルポルタージュ、スポーツノンフィクション、インタビュー、エッセイ・コラム、小説を執筆するノンフィクション作家。主な作品に、『中田英寿 鼓動』『イチロー・オン・イチロー』『勘三郎、荒ぶる』『YOSHIKI/佳樹』『全身女優 森光子』『熱狂宣言』『五郎丸日記』『それってキセキ GReeeeNの物語』などがある。

 

いがらし朝青(あさお)

1975年生まれ。千代田区在住。かに座。O型。東京大学法学部政治学科卒業。広告会社を経て2005年より千代田区の会社に勤務。趣味はサッカーとテニスとアカペラ。毎日の区内の移動はほぼ自転車です!弟の立青(たつお)は現つくば市長。